商品やサービスの納品後に請求書を作成するため、普段から請求書を目にする機会も多いのではないでしょうか。
請求書は取引相手に対して商品・サービスなどの対価について請求するための書類で取引や契約を行う際必ず行う必要はありません。
しかし、これまでの商取引において請求書を交わした取引が習慣化されているため、現在ビジネスの場面において請求書を発行されることが多いです。
また、2023年の10月から施行される適各請求書に伴い、請求書の取り扱いに注目がありますが、一般的な請求書との違いを正確に理解できていない方も多いと思います。
そこで本記事では請求書の書き方やルール、適格請求書とはどのようなものなのか紹介します。
ダウンロード&インストール不要!
請求書発行はこちら
請求書とは
支払いを行う際、請求書を発行しない場合でも支払いを行なっても問題ありません。
税務調査があった場合は取引の正当性を示すための証憑(しょうひょう)の提出が必要になるため、支払い時には請求書を作成・送付し支払い業務を行うことが一般的です。
請求書の作成や送付はビジネスシーンでは定番とされているため、毎月なんとなく受理されがちです。
請求書に書かれていることを、改めて見直したり深く意味を知っておくと、その後のやり取りも円滑になる可能性が高くなります。
ここでは、請求書とは何か基本的な概念について紹介します。
ダウンロード&インストール不要!
請求書発行はこちら
請求書は支払いを確定させる案内状
支払いの義務を促すため、取引先へ指定期日までの支払いをお願いする文書と認識しておけば良いでしょう。
仕事やサービスを通じて受け取る報酬を文書で確定させる目的があります。
ただし、請求書の発行については、法的な効力や義務として決まっているわけではありません。
あくまでもビジネス上の慣習として定着しているものと考えておきましょう。
請求書を発行する理由
請求書の発行が法的に義務化されていないにも関わらず、請求書の発行が習慣化されている理由として次の理由が挙げられます。
- 意思疎通できるためトラブルの防止になる
- 税務調査の際の支出証明に役立つ
請求書が発行されていないと請求する側と受ける側の間で小さな認識のズレが生じ、大きなトラブルへ発展してしまう可能性があります。
請求書を交わした取引を行うことで、支払い忘れの防止やお互いの意思疎通を共有し、トラブルを防止することが期待できます。
請求書を発行し支払い代金を請求する側としては、取引先とのサービス内容を明確にし、その証明と支払い上でのトラブル予防が期待できます。
一方、請求される側としては税務調査の際の支出証明になります。
税務調査が入った場合、これまでに発生したを経費として計上したいのであれば具体的な取引内容の記録を提示する必要があります。
請求書を交わして取引を行なっていると、過去の取引を証明することができるため経費として計上することが認められます。
ダウンロード&インストール不要!
請求書発行はこちら
請求書でのルールについて
請求書の発行や受理には、法的な決まりがないことから、書式のルールは存在しません。
常識の範疇で請求書に記載がされていないと、ビジネスマナーを問われてしまう可能性も考えられます。
請求書にはそれ相応に書き方のルールがあるものと考えておくことが大切です。
ダウンロード&インストール不要!
請求書発行はこちら
請求書発行のタイミング
先ほど紹介したように請求書には法的な決まりがないため書式のルールが存在しません。また、取引相手から、「請求書を送ってください。」と連絡が来ると思っている方もいらっしゃると思います。
実際、取引先から取引ごとで「請求書の発行してください。」と連絡されることはほとんどありません。
請求書を発行するタイミングは、「掛売り方式」と「都度方式」のどちらの契約方法によるか変化するため、まずはどの契約方法であるかを確認しましょう。
掛売り方式は、毎月取引のある相手や支払いの信用のある相手から約1ヶ月に1回の頻度でまとめてお金を受け取る契約方法です。
そのため、できるだけ毎月同じタイミングで請求書を発行するようにしましょう。
都度方式は、新規の取引相手やスポット契約などの案件を1つ終えるごとで請求する契約方法です。
都度方式では、納品物と同じタイミングで請求書を発行することが多いです。
請求書の基本的な書き方とは
請求書には、取引がある商品・サービスの料金明示や支払い請求をするために使用する意味があります。
そのため、販売成立した商品・サービスの内容、単価、数量、合計金額、振込先口座、支払期限といった主な項目が記載されることが一般的です。
上記の項目の記載に関する法的義務はありませんが、請求書作成のための大まかなルールが成立しているものと考えておくと良いでしょう。
また、2023年10月から、適格請求書等保存方式(インボイス制度)が導入されることもあり、双方の信頼関係維持のためにも、正しい記載と注意点を知っておく必要があります。
そこでここでは、一般的な請求書を作成する際の基本的な書き方について紹介します。
- 宛名
- 商品・サービスの内容
- 単価・数量
- 合計金額
- 振込先口座
- 支払期限
請求書での宛名のルール
請求書の発行は義務化されていないため、正しい書式ルールはありません。
しかし、対外的な書面の意味合いから、一定の常識を踏まえ暗黙の了解とされる習わしは存在します。
宛名を書く際に気をつけておきたい点は、書類の交付を受ける事業者氏名、もしくは名称を正確に記入することです。
以下のような形式であれば宛名記載の際、十分であるといえます。
- 法人宛の事例・・・株式会社〇〇 御中
- 個人宛の事例・・・山本 一郎 様
宛名の欄には、受取側会社名もしくは個人名・屋号が記載されます。必ず末尾には敬称として、法人や団体宛なら「御中」、個人宛なら「様」で統一しておきましょう。
また宛名と敬称は、1文字空けた表記をします。細心の注意としては、会社名が「前株」なのか「後株」なのかの違いも考えられます。
続いて、郵便番号・住所を一行ずつ改行して記入することも忘れないようにしましょう。
ちなみに、会社名・担当者名は、他の文字より大きくし下線を引いておけば、より宛先が分かりやすくて親切な印象を与えます。
請求書の宛名については、特別ひねったことを記入する必要はなく、相手の名称を正確に書いて、最後は「御中(企業や団体の場合)」「様(個人の場合)」で〆るだけです。また、より丁寧な宛名書きをするのであれば、経理担当者が届いた請求書を判断しやすいように、宛名へ部署名も入れておくとベターでしょう。
請求書での振込先のルール
請求書への振込先の記載項目としては、主に金融機関名・支店名・口座番号・口座の種類・口座名義を記載します。
- 金融機関名
- 支店名
- 口座番号
- 口座の種類
- 口座名義
振込先が複数の金融機関口座を指定する場合も同様の項目を記載します。
金融機関名・支店名の明記では、「金融機関コード」「支店コード」も記載すると親切な印象を与えるでしょう。
口座番号では正確な番号を記載しなければなりません。この部分は間違いがあると双方が大変な目に遭ってしまいます。
口座名義は必ずカタカナで記載し、口座名義も間違っていると振込ができないので重要なポイントとなるでしょう。
支払期限の書き方のルール
請求金額の支払い期限は、主に月末・翌月末支払いの設定をする会社が多いはずです。
請求金額の支払い期限は具体的な期日を記載する必要がありますが、必ず取引先とのルールを確認しながら双方で決定させましょう。
請求先のキャッシュフローの関係上、通常のタイミングでの支払いが難しい場合もあります。
取引相手から請求書を取り交わす前に期日の変更依頼があると相談し設定することが大切です。
支払期限の記載については、日付を和暦・西暦どちらにするのかなど特に規制もありません。
事前にフォーマットをある程度決めて統一しておくほうがよいでしょう。
また支払い方法については、各取引が発生するごとの請求である「都度方式」と、毎月請求する「掛売方式(請求書払い)」の2つがあり、定期的な取引がある企業間であれば掛売方式がおすすめします。
請求書の書き方の注意点
先述した請求書の主要項目の書き方以外にも、細かな個所での注意点もあります。以下の4つのポイントを抑えた書き方が望ましいでしょう。
- 複数の請求内容はしっかり整理して区分する
- 請求金額は税抜き・消費税込みの両方を記載
- 小数点以下の取り決めをしておく
- 数量・単価の記載も忘れないこと
もし複数の取引があって、それを1通の請求書で取りまとめたい場合は、送付先の相手が手に取った時に把握できやすいように、請求内容の詳細を区分し記載しておくとよいでしょう。
また、請求金額の書き方は税抜き価格を記載した上で、合計金額の箇所で消費税との合算されている金額も必ず記載するのが基本です。
軽減税率が適用される場合の取引位では消費税率が8%、通常は10%であり、消費税率がどちらで計算されているか確認しやすさにも影響します。
さらには、消費税での小数点以下の数値について、切り捨て・切り上げに関する処理方法を取引先と事前に決めておくことも忘れてはなりません。
数量についても正確に記載し、単価も必ず一緒に記載しておきましょう。
請求書の印鑑は必要なのか
現在では請求書がビジネス文書として意味を成すことで、恒常的に欠かせない書類とされています。
そのため、印鑑との関連性がよく問われ続けています。
請求書に印鑑を押す必要はあるのか、請求書に印鑑が押されることの利点について、ビジネスマナー上から紹介します。
【請求書と印鑑の関係】
- 印鑑捺印は義務化されていない
- 印鑑捺印は偽造を防止できる
請求書そのものが法的効力を持っていないため、印鑑を押す・押さないに関する義務は一切生じません。
ただし請求書を発行することによって、口頭だけの約束で起こり得る稚拙なトラブルを未然に防ぐことができること、税務調査の際に正式な証明となる利点が生まれます。
印鑑を押すことも、相手への礼節や自社の存在アピールの意味合いを含めて、当たり前のようにされていると思えばよいでしょう。
請求書への印鑑押印自体は義務化されていませんが、その請求書が正式に発行されたことを証明する手段として有効的です。
印鑑が押されることで偽造の抑止力を高め、より健全な契約が成立します。
また、古くから日本は印鑑文化が根強いこともあり、現在でも印鑑を重視する企業や団体は多くあります。
請求書のテンプレートやフォーマットの利用がポイント
請求書の金額や支払い金額が契約時と異なると信用問題に関係するため、正確に記載し請求書を作成する必要があります。
請求書の発行タイミングや記載事項のルールは特になく、一度作成した請求書のテンプレートやフォーマットを継続的に使用することが一般的です。
請求書には厳格なルールが存在しませんが、ある程度決まった書式・フォーマットが存在します。
そのため、これまで1度も請求書を作成したことがない場合は請求書のテンプレートやフォーマットを利用することで安心して請求書の作成ができます。
無料で請求書のテンプレートやフォーマットを配布しているため、まだ請求書のテンプレートとなるものがない方であればこちらを使用してみてください。
インボイス制度と請求書の関係
2023年10月よりインボイス制度が施行されます。インボイス制度の施行に伴い、請求書の発行にも多少の影響が出ることになりました。
そもそも「インボイス」とは、適用税率・消費税額などの記載要件を満たしている請求書を意味します。
2019年より、軽減税率が発生していることが大きな理由です。
これは消費税率が10%に引き上げられた商品がありつつも、食品・テイクアウトの宅配・週2回以上発行される新聞などは8%のまま適用され続けてます。
消費税8%と10%の商品が混在するため、これらの異なる消費税率も請求書の中で区分できるよう準備しておく注意が必要となりました。
クラウドでの請求書発行のメリット
近年では、クラウド上での請求書発行システムが台頭し普及し始めています。請求書の作成から送付に至る全行程を効率的に進められるシステムです。
それまでの請求書は、Excelなどで作成・印刷し手作業による封入と郵送、PDF化でのメール添付が普通でした。しかしネット社会となり、顧客との取引上のやり取りはなるべく簡潔に手間や無駄を省ける時代です。
その方法の一つが、クラウド上での請求書発行サービスといえます。
請求書発行システムを利用することで一連のプロセスを自動化させてペーパーレスも実現できるため、導入する企業がますます増加中です。ここでは、クラウドでの請求書発行のメリットや基本機能などを紹介します。
- コスト削減が期待できる
- 業務全般の効率が向上する
- セキュリティ面でも安心できる
- 人的ミスが削減できる
コスト削減が期待できる
紙で請求書を作成していた場合は、書類の作成や印刷・封入・郵送においてコストがかかります。
請求書を作成するための書類の費用や、プリンターのインク代、郵送の切手代の他、それぞれの人件費も発生します。
請求書は取引内容によって作成することが多く、取引内容が多くなるにつれ作成する請求書が増えるためコストが大きくなります。
クラウド請求書発行システムを導入することで、全てインターネット上で請求書の作成〜発行ができるため紙やインク代などのコストを大幅に削減することが期待できます。
業務全般の効率が向上する
システム導入に伴って取引先の情報を登録してしまえば、請求書へデータが反映され、毎月の作成の度に入力する必要も生じません。
従来のExcelや紙で請求書や注文書、納品書を作成されていた方はそれぞれ取引先や金額の計算や記入を行う必要があります。
しかし、クラウドでの帳票管理は請求書だけでなく、注文書や納品書、発注書などの書類データを活用し請求書を作成できるため、帳票作成にかかっていたコストを全般的に削減できます。
毎月同じ内容の請求書を発行する際も、自動作成・発行もできるため、請求書作成の手間が省けて請求漏れやミスも激減し、業務効率が向上するでしょう。
また、スマートフォンやタブレット端末からのアクセスできるので、急な請求書データ修正や確認が必要になった場合でも屋外から迅速な対応できます。
セキュリティ面でも安心できる
今までのような、エクセルでの請求書をPDF変換しメール送信をした場合、誤送信などのミスが発生しやすい欠点があります。
さらにはセキュリティ対策をしっかり行わないと、不正アクセスによる情報漏えいも考えられます。
請求書では、取引先がどのような内容の商品・サービスをどのくらいの量使用しているのか、担当者や振込先など機密情報が含まれるため厳重にに取り扱う必要があります。
クラウド上での請求書発行システムを利用すると、請求書を含む帳票書類の一元管理ができるため書類の自動作成や配信機能によって誤送信を防ぐことができます。
また、アカウントへのログイン時のパスワード設定やデータの閲覧や編集権限をアカウント単位で設定できるため、スマホやパソコンといった端末を紛失した場合でもデータの漏洩を防げます。
人的ミスが削減できる
紙やExcelを使用した請求書を作成時は、請求金額の数字入力ミスや標準税率・軽減税率の間違えによって金額の計算ミスが起こりえます。
特に、請求書は毎月大量に作成することが多く、経理担当者の負担が大きくなり入力ミスや計算ミスは起こりやすい状態になります。
クラウド上での請求書発行システムを導入すると、商品の単価や数量を選ぶだけで自動で計算されるため、計算ミスを防ぐことにつながります。
また、請求書のデータにミスがあった場合も訂正が修正箇所の内容を修正するだけで完了し敏速に請求書修正が行えるため、再発行の効率化にもなるでしょう。
クラウド請求書発行システムの基本機能
クラウド上での請求書発行システムを利用すると、主に次のような内容が装備されていることが多いです。
- 請求書作成機能
- メール送信・郵送代行機能
- データ連携機能
- 入金管理機能
請求書作成機能を使えば、既存のテンプレートが準備されているため、請求書をシンプルに作成することやフォーマットのカスタマイズにも対応が可能です。
ほとんどのクラウド請求書では必要事項に従って入力することで完成し、請求書そのものの作成も簡潔化できます。
メール送信・郵送代行機能は、取引先でもWeb上にて請求書データをダウンロードできる機能です。電子請求書としてメール送信や郵送代行サービスも実現できます。
また送付方法は自由に選べるため、取引先からのニーズにも対応ができ、会計ソフト・販売管理システム・CRM・SFAといった周辺システムとの連携が可能です。請求書発行システムへデータをそのまま反映することができます。
そして、入金管理機能により銀行口座から入金データを取り込め、自動で入金消込を実施します。もし先方からの入金が確認できなければ、督促も自動的に行ってくれるので便利です。
フリーランスとしての請求書の扱い方
請求書の発行は、企業同士の契約で執り行われている印象が強いため、個人事業主及びフリーランスなどの、一人親方には縁がないもと思われがちです。
しかし、個人で仕事を行う一人親方でも、請求書の作成をして取引先へ渡す機会もあります。その際の個人による請求書にも、決められた書き方や法的効力は存在しません。
それでも、日常的に請求書のやり取りがあると知っておくことが大切です。
とくにフリーランスとして独立する人は今後ますます増加していくことでしょう。クライアントから請求書作成を依頼されるケースが考えられるため、請求書の作り方がわからないと悩む前に、書き方やフォーマットなどを一通り理解しておくことです。
個人事業主も請求書の保管が必要
フリーランスや個人事業主が請求書を発行する場合、書面をクライアントに渡して終わりではなく発行し送付した後一定期間保管しておく必要があります。
発行側のほうでも該当請求書のコピーを保存しておく必要性があります。保存期間が原則5年間と決められています。
5年という期限は、請求書を作成した日からではなく、事業年度に確定申告書を出したタイミングから起算する5年間とされています。
同時に、個人事業主やフリーランスも、確定申告書類作成にともなった帳簿作成もする義務になっています。
帳簿は7年間の保存義務があるので、請求書と帳簿を一緒に保存しておくとよいでしょう。
個人事業主が法人などへ請求書を発行する場合
個人事業主やフリーランスが請求書を作成する場合、どのような項目を作る必要があるのでしょうか。これも法的な決まりごとは一切ないので、法人と同様に自由形式となっています。
ただし、請求書の役目はクライアントが経費として証明するのに必要なので、一般的な請求書の主要項目を押さえておくことが大切でしょう。とくに税込み・税抜きなどもわかりやすくすることです。
- 請求書の宛名・宛先
- 請求者氏名
- 請求日・支払い期日
- 請求内容
- 請求金額
- 振込先情報
- 請求書番号
- 備考
できれば請求書作成にあたって、ビジネス上で通用するフォーマットを確立させるようにしましょう。
ある程度の企業向けな要素が網羅されていて、請求書の書式がしっかりしているので、信用を得やすい請求書テンプレートの使用がおすすめです。
また、契約先が法人である場合は、報酬請求の締め日を確認しておく必要があります。
その上で請求書作成と発行は、締め日を基準にしてどう進めるかを双方で話し合って決めておきましょう。
例えば、締め日以降を発行日に指定した場合は、報酬支払いが翌月以降となります。支払のタイミングでトラブルを未然に防ぐためにも、いつが締め日で支払いは末日なのか翌月なのかを取り決めておきましょう。
法人が個人事業主へ請求書を発行する場合
法人などの企業や団体が、個人事業主やフリーランスへ請求書を発行することも日常的です。ただし、個人事業主やフリーランスといった立場の人々は、大きな会社からの下請け取引を行っていることから、受注側のケースが目立ちます。
そのため、請求書の発行件数としては少なく珍しいほうかもしれません。そこで注意してほしい点は、もし法人の商品やサービスを個人事業主やフリーランスが購入した際に、請求書もしくはそれに代わる書類を発行しない法人だった場合は要注意です。
口頭での取引がトラブルになる恐れがあるでしょう。たとえ小さな契約や取引だったとしても、その証明となる意味でも請求書の発行を申し出ることが大切です。
請求書をメールで送付する場合のポイント
請求書の作成や送付は郵送による方法がメインでした。
現在も郵送にて請求書や注文書などの帳票書類を作成・送付している企業も多いのですが、メール送受信でのやり取りも頻繁に行われています。
請求書はメールでの送信について、とくに法的なルールも存在しません。ただし、メールでも、項目などについて暗黙の了解となっている定例書式があります。
メール送付での請求書の各項目
メールで請求書を送る場合も、紙面の請求書へ記載するべき項目と共通な部分がほとんどです。2023年時点での、仕入額控除を受けるのに必要とされる「区分記載請求書」では、以下の記載事項をメール文章にて求めています。
- 区分記載請求書発行者の氏名又は名称
- 課税資産の譲渡等を行った年月日
- 課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の提供の内容
- 税率ごとに区分して合計した税込価格
- 区分記載請求書等の交付を受ける事業者の氏名又は名称
しかし、先述したように、2023年10月よりインボイス制度が施行されるため、その後は、仕入額控除にあたり「適格請求書」が必要とされます。
- 適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
- 課税資産の譲渡等を行った年月日
- 課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の提供の内容
- 税率ごとに区分した税抜価格又は税込価格の合計金額音び適用税率
- 消費税額等
- 適格請求書の交付を受ける事業者の氏名又は名称
メールの際はPDF化して添付すること
請求書のメール送付の際の注意点は、PDFファイルにして添付する方式が常識になっていることです。
PDFファイルに変換する理由は、発行後の記載内容を変更しにくくするので偽造などの不正を防止できることや、プリントアウトが簡単に操作できる利点にあります。
業務上でExcelなどの表計算ツールで請求書を作成しているのであれば、必ずPDFファイルに変換して送付することを習慣にしましょう。
メール送付の請求書にも印鑑は必要か
請求書をメール送付する場合、印鑑の押印は必要なのでしょうか。
そもそも請求書自体に印鑑を押すルールが存在しません。そのため、印鑑がないメール送付でも問題なく効力はあります。
しかし、習慣として浸透している行動であることや偽造防止の意味で、メール添付する請求書データへも印鑑捺印をしておくとよいでしょう。
印鑑の印影をスキャンし画像データ化したり、電子印鑑を利用することでメール送付時に電子印鑑を捺印できます。
請求書を封筒で送付する場合のポイント
電子化が進んでいることで、請求書がアナログからデジタルへ変換されています。
しかしながら、取引先の状況や慣例などの理由もあり、請求書をこれまでのように封書で郵送する方法も残っている現状です。
そのため、請求書に関する郵送でのマナーもしっかり押さえておく必要があります。
請求書の封筒の書き方(表面)
請求書を入れる封筒については、サイズの規定もとくにはありませんが、常識的なものとしては角形2号の封筒がおすすめです。請求書の封筒表面には以下の項目を設けて記載します。
240×332mmのサイズでA4サイズやB5サイズの書類を折らずにそのまま封入できるサイズです。
封書には次のような項目を記載しましょう。
- 宛先の住所
- 宛先の会社名・部署名・担当者名
- スタンプなどで「請求所在中」の文言
当然ながら住所と郵便番号は正確に記載、マンション名・ビル名なども同様です。記入枠の中に記入しますが、ない場合は右上に記載しましょう。
住所も必ず都道府県から記載するよう心がけてください。「請求書在中」の文言は、郵送物が請求書であることを識別しやすくする役目です。普通はスタンプで押印しますが、すでに印字された封筒もあります。
請求書の封筒の書き方(裏面)
請求書の封筒の裏面では、送り主に関する情報を記載します。主に以下のような内容が記載されていると思ってください。
- 送り主の住所
- 送り主の会社名もしくは氏名
- 送付日
- 〆(封じ目)
裏面の下部に郵便番号記入枠があればそこに記載します。もしない場合は、住所の上へ横書きすればよいでしょう。送付日の記載は、左側上部に配置するのが一般的です。
注意点として、封じ目は「×」にしないことです。「〆」もしくは「封」「緘」といった封じ目を記入するようにしましょう。
請求書には送付状がいるのか
よく郵送物の中に、送付状という題目で一通分手紙が添えられているケースがあります。
送付状とは、郵便物・書類などへ同時に添える書状のことです。
送付した内容物に間違いがないかを確認できるよう親切に示してあります。枚数や内容物のタイトルなどを書き示すものです。送付状を添付することに義務はありません。
必ず添付すべきものではないので、その点を誤解しないようにしましょう。
しかし、これも日本の商習慣の長さで定着した風習です。必要ないとはいえ送付状を一通添えておくほうが無難といえるでしょう。相手への親切な気配りにもなります。送付状を送る場合は、次の項目を記載するようにしましょう。
- 宛先
- 送付日
- 送付内容
他にも送付状に必要な項目は、主に以下のようなものが典型的です。
- 送信者情報(社名・部署名・氏名など)
- 前文
- 本文(主文)
- 末文
- 書類の送付枚数
ここでの前文とは「挨拶」に該当する冒頭部分のことです。
「いつも大変お世話になっております」「日頃は格別のご高配を賜りまして誠にありがとうございます」といったビジネス文書の定例文をそのまま引用しても構いません。
末文に関しても、取引先への敬意を払う意味で、「今後とも何卒よろしくお願い申し上げます」という定例文章で終わるのが一般的です。本文では、今回の請求内容に言及したフレーズを作り、商品名や個数など、相手が確認しやすいように簡単に網羅してもよいでしょう。
請求書と領収書の違い
商品・サービスの購入支払いにて取り交わされる書類には、主に請求書・見積書・領収書などがあげられます。
いずれもビジネスシーンで頻繁に利用されていますが、取り扱い方法に相違点があります。中でも請求書と領収書は経理上・印紙税法上での扱われ方に注意が必要です。
請求書と領収書は発行するタイミングが違う
請求書と領収書の大きな違いとして、請求書と領収書は発行するタイミングが違う点です。
商品・サービスの代金を請求することを知らせる書類なのが請求書ですが、領収書は代金を領収した事実を示す書類です。
請求書は代金を支払う前に発行され、領収書は代金支払い後に発行されます。
また、請求書の発行は義務ではありませんが、領収書については発行を依頼された場合、発行する義務が生じます。
請求書と領収書のどちらが有効的か
請求書と領収書の経理上での取り扱いは、支払方法によって区分されます。
原則として、現金払いを証明する際には領収書が必要となることを覚えておきましょう。
もし銀行振込やカードでの支払いだった場合、それぞれの明細と請求書がセットになって発行されれば領収書がなくても経理上認められます。
ただし、請求書が発行されていなければ領収書が必要になってくるでしょう。
安全策として、先方が領収書を用意できるのであれば受け取ることをおすすめします。できれば請求書や領収書は、先方で一緒に用意してもらえるのか確認しておくことです。
領収書には収入印紙が必要なケースもある
請求書に収入印紙の必要性は一切ありません。ところが領収書の場合は、内容によって収入印紙を貼る義務が生じてきます。利益が発生したことを明確にするビジネス文書扱いになるため、基本的に印紙税の課税対象になるからです。以下の場合は非課税となり、収入印紙の貼付が必要ありません。
- 金額が税抜5万円未満の場合
- 電子発行された領収書
もし、5万円以上の支払いが発生し、その上で紙での領収書発行なら、収入印紙を貼付る必要があります。
まとめ
本記事では、請求書の役割や一般的な請求書の記載事項、請求書と領収書の違いについて紹介してきました。
請求書を作成し送付する義務はありませんが、これまでの請求書を発行して取引を行うことが多かったため請求書を交わして支払いが行われることが一般的です。
また、請求書には、宛名や氏名、支払い金額・期日などの基本的な内容に加え、適格請求書の場合は登録番号や適用税率に合わせて作成する必要があります。
請求書と領収書は混合されがちですが、請求書は発行義務がありませんが、領収書は依頼を受けた場合発行する義務が発生します。
SpreadOffice(スプレッドオフィス)
- ダウンロード&インストール不要で即日使用可能
- 見積書、注文書、注文請書、請求書、売上伝票、納品書、検収書など業務帳票の発行・管理
- 電子印鑑・インボイス制度・役職(ユーザー)ごとの権限管理に対応
- メール&電話の充実したサポート体制
帳票管理に加えて、PDF送信、 データのCSVインポート、Excel・CSVエクスポート機能、 案件原価管理、権限管理、ファイル管理、支店管理など、個人利用はもちろん、大規模事業者様でもご利用いただけます。
料金プラン
990円/月(税込)
5名以下でのご利用
個人事業主様におすすめ
1,320円/月(税込)
6名以上でのご利用
法人様におすすめ
1,980円/月(税込)
大人数でのご利用
独自帳票を使いたい方
※プラン内でのユーザー追加削除は管理者ユーザーにて自由に行うことが出来ます。
※無料期間終了後に自動で課金されることはございません。